日本独特の占いの一つに「辻(つじ)占い」と呼ばれる占法があります。また、「橋占い」とか「夕占い」とか「黄楊(つげ)占い」とも呼ばれています。
これは、占い師ではない庶民たちが、自分で自分の未来を占う方法として広まっていた占いで、人通りの多い交差点や橋のたもとなどに立ち、行きかう人々の会話の中から神託を得る占法です。
かつて四辻や橋のたもとは、神の世界へとつながる境界線とされていたため、そこで聞こえる会話には神の声が混じっていると考えられており、自分自身が知りたい答えを、街ゆく通行人たちの会話に求めるのです。
おそらく、江戸時代の人たちは今よりも、ゆっくりとそぞろ歩きをするケースが多く、路行く会話も聴き取りやすく占法も行いやすかったのかも知れませんが、現代でも十分通用する占法です。
この占いでは、会話内容が大事なのではなく、その一部の聴き取れた言葉や、会話している雰囲気、姿・形などが重要で、それらを合わせて判断すべきでしょう。
ただ、遊び半分や、最初から疑って掛かると的中しませんし、こういう偶然性を重視した占いというのは、真剣に行わないと、的確な回答は得られません。
むしろ、人生の岐路に立っているようなときこそ、大きな十字路や、橋の袂で、おこなってみる価値のある占術といえるでしょう。その場合、何を占うかを明確にしておくことが必要です。
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